日々の忙しさの中で、ふと懐かしい物語に触れたくなりました。学生時代に夢中になって読んだ、小野不由美さんの「十二国記」。今回は、audiobook.jpで「月の影 影の海」をオーディオブックで聴きました。
通勤や家事といった「ながら時間」でも、あの重厚な世界に浸れるのはいいですね。実際に聴き始めると、その期待はすぐに心地よい没入感へと変わりました。
朗読は、声優の久川綾さん。彼女の落ち着いた、それでいて芯のある声が、物語のシリアスな雰囲気に見事にマッチしています。主人公・陽子の戸惑い、恐怖、そして次第に強さを帯びていく心の変化が、声のトーンを通じて生々しく伝わってきます。特に、陽子が異世界で直面する孤独や裏切りの場面は、目を閉じていると情景が鮮明に浮かび上がるようでした。
10代の頃に読んだ時とは、物語の響き方がまったく違いました。 当時も陽子の過酷な運命にハラハラしましたが、今、30代の視点で聴くと、彼女が抱える「他人の顔色をうかがう弱さ」や「自己肯定感の低さ」が、より深く理解できる気がします。社会に出て、人間関係の中で悩み、自分自身の立ち位置を模索してきた経験があるからこそ、陽子の苦悩が他人事とは思えません。
彼女がすべてを失った場所から、異形の獣と戦い、自分を裏切った他者と対峙し、他ならぬ自分自身のために「生きる」ことを決意していく姿。それは、大人になった今だからこそ、より強く心を揺さぶるのかもしれません。
オーディオブックで聴く「月の影 影の海」は、読書とはまた違う、深く、濃密な体験でした。物語の世界観にじっくりと身を委ねることができ、聴き終えた後には、確かな満足感が残りました。これは、続きの物語も耳で追いかけたくなりますね。
新作続々追加!オーディオブック聴くなら – audiobook.jp
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